裂肛(切れ痔)

裂肛とは

硬い便や、持続する下痢により、肛門の皮膚が切れた状態です。

原因

  • 便秘、下痢が続く
  • 踏ん張る力が強い
  • 辛いものをよく食べる

など、肛門に負担がかかる場合に肛門の皮膚が切れてしまいます。

症状

急性裂肛と慢性裂肛に分類されます。 急性裂肛の場合、排便後5分未満の肛門痛、出血が主な症状です。 肛門の血流は多いため、便器が真っ赤になるような出血が出ることもしばしばあります。
急性裂肛を繰り返すことにより慢性化すると、裂肛部位は潰瘍化し、周辺の皮膚や肛門上皮が隆起して、肛門ポリープやスキンタグ(見張りいぼ)と呼ばれる状態になります。
裂肛を繰り返すと徐々に肛門狭窄が進行していきます。肛門狭窄の状態になると、排便時にの痛みは毎回強く、その痛む時間も数分では済まずに長くなります。

治療法

急性裂肛は基本的には薬物治療となります。
便秘や下痢は、どちらも「切れる」原因になりますので、薬による便通のコントロールが最も重要です。
緩下剤で便を軟らかくしたり、整腸剤で下痢の改善を試みたりします。さらに注入軟膏により傷を治していきます。軟膏治療や便通のコントロールをすると、比較的短期間で出血や肛門痛の症状は改善してきます。
しかし、症状が改善したからといって、そこで薬をやめてしまうと、すぐに再発します。なぜなら、傷はまだ癒えていないが、症状がなくなる時期があるのです。症状が改善してからもしばらく(2週間ほど)薬を継続することで、傷が治癒して再発のしにくい肛門になってきます。

中途半端に薬の治療を繰り返していたり、無治療で裂肛を放置すると、慢性裂肛という状態になります。
慢性裂肛になると、裂肛部位が硬くなったり、徐々に肛門が狭くなってきます(肛門狭窄)。さらにポリープやスキンタグが形成され、それらが排便時に動くことで、さらに「切れる」原因になってくると、以下のような手術治療が必要になります。

手術法

皮膚弁移植術(SSG)

肛門狭窄を伴う慢性裂肛に対する術式です。慢性裂肛で硬くなった裂肛部位や肛門ポリープ、スキンタグを切除し、肛門の外側の皮膚をスライドさせて狭くなった肛門を広げる術式です。

裂肛切除術

裂肛部位や肛門ポリープ、スキンタグを切除し創縁を縫合する術式です。場合によっては肛門括約筋を一部切開して、適切に肛門を拡張させます。

側方内括約筋切開術

内肛門括約筋を一部切開することにより、肛門を拡張させる術式です。

当院では日帰り手術で上記のような治療を行っております。

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